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【企業所得税】「政策による企業移転に関する所得税管理弁法」の公布に関する国家税務総局の公告【参考訳】
少し古いですが、2012年に「政策による企業移転に関する所得税管理弁法」の公布に関する国家税務総局の公告が発表されました。政府主導による企業移転の際に支払われる財政補助金や移転費用などの税務上の処理について規定されています。参考訳を掲載しましたのでご覧いただけますと幸いです。
【企業所得税】「政策による企業移転に関する所得税管理弁法」の公布に関する国家税務総局の公告【参考訳】
第一章 総則
第一条:本規定は、「中華人民共和国企業所得税法」(以下「企業所得税法」という)およびその実施条例の関連規定に基づき、政策による企業移転の場合の企業所得税の徴収管理を規範化するために制定された。
第二条:本規定の実施範囲は、政策による企業移転の過程における企業所得税の徴収管理に関する事項に限定され、自主的な移転や商業上の移転など、政策上の理由によらない移転の税務処理に関する事項は含まれない。
第三条:政策による企業移転とは、政府の指導の下、社会公共の利益の必要に応じて企業を全体的または部分的に移転することを指す。
企業移転は、それが以下のいずれかの理由によるものであることを証明する関連書類を提出した場合、政策による企業移転とされる。
(1) 国防および外交、
(2) 政府が組織および実施するエネルギー、交通、水利、その他のインフラ施設、
(3) 政府が組織および実施する科学技術、教育、文化、衛生、スポーツ、環境および資源保護、災害防止および軽減、文化財保護、社会福祉、都市公益事業などに関する公共事業、
(4) 政府が組織および実施する手頃な価格の住宅建設、
(5) 「中華人民共和国都市・農村計画法」の関連規定に基づき、政府が組織および実施する、危険な建物や老朽化したインフラが集中する旧市街地の再開発
(6) 法律および行政法規が規定するその他の公益上の必要性
第四条:企業は、本規定に基づき、政策による企業移転に伴う移転収入、移転費用、移転資産の税務処理、移転収入の徴収管理に関する事項について、個別に税務管理および計算するものとする。個別に税務管理および計算を行うことができない場合、自主的な移転や商業上の移転などの政策による企業移転以外とみなして企業所得税の税務処理をし、本規定を適用してはならない。
第二章 移転収入
第五条:企業の移転収入には、移転過程において企業外部(政府またはその他の機関を含む)から取得した移転補償収入、および企業資産の処分による収入が含まれる。
第六条:移転補償収入とは、移転により企業が取得する金銭および金銭以外の補償収入を指す。具体的には、以下を含む。
(1)収用資産の価値に対する補償
(2)移転および再定住に対する補償
(3)生産または営業の停止による損失に対する補償
(4)移転中の資産に対する損害に対する保険補償
(5)その他の補償収入
第七条:企業移転による資産処分収入とは、企業が移転により各種資産を処分することによって得た収入を指す。
企業移転による在庫処分によって得た収入は、通常の事業活動から得た収入として企業所得税の課税対象となり、企業移転による収入とはみなされない。
第三章 移転費用
第八条:企業の移転費用には、移転費用と移転による企業資産の処分費用が含まれる。
第九条:移転費用とは、企業の移転期間中に発生するすべての費用を指し、これには、従業員の異動によって実際に発生する費用、操業停止期間中の従業員に支払われる賃金および福利厚生費、移転資産の一時保管費用、各種資産の移転および設置費用、その他移転に関連する費用が含まれる。
第十条:資産処分費用とは、企業が各種資産の移転および処分により発生した費用を指し、各種資産の売却および処分による帳簿価格、処分過程で発生した税金およびその他の費用を含む。
企業が移転により資産を廃棄し、譲渡価値がない場合、その資産の帳簿価格を企業の資産処分費用とする。
第四章 移転資産の税務処理
第十一条:移転資産が簡単な設置工事または設置工事を伴わないで引き続き使用できる場合、当該資産が再び使用可能となった後に、その帳簿価格を企業所得税法およびその施行規則に従い、減価償却または償却がまだ行われていない残存年数に基づき、減価償却または償却を継続して行う。
第十二条:移転した企業の資産が再利用される前に大規模な修繕が必要な場合、その資産の帳簿価格に大規模修繕の際に発生した支出を加えた額を、その資産の取得原価とする。その資産が再び使用可能となった後は、その資産の残存耐用年数に応じて減価償却を行う。
第十三条:企業移転に伴う土地収用が他の土地に置き換えられる場合、その代替地の取得原価は、収用された土地の帳簿価格に代替地が使用可能となるまでに発生したすべての費用を加えたものとする。代替地の取得原価は、代替地が使用可能となった後、企業所得税法およびその施行規則に定められた年数にわたって償却されるものとする。
第十四条:企業移転期間中に新たに取得した各種資産は、企業所得税法およびその施行規則の関連規定に従って、取得原価および減価償却期間を計算し決定される。
企業が資産取得に支出した費用は、移転による収入から控除してはならない。
第五章 課税所得
第十五条:企業の移転期間中に発生した移転収入および移転費用は、一時的に当期の課税所得に算入しないことができ、移転が完了した年に移転収入と移転費用を一括して申告する。
第十六条:移転収入から移転費用を差し引いた残額を、移転所得とする。
企業は移転が完了した年に、移転所得を当年度の課税所得に含めて税金を計算し、納税するものとする。
第十七条:以下のいずれかの状況に該当する場合、企業は移転に伴う申告を行い、移転所得を計算するものとする。
(1) 移転開始後5年以内(移転した年を含む)のうち、移転が完了した年。
(2) 移転開始後5年(移転した年を含む)を経過した年。
第十八条:企業移転収入から移転費用を差し引いた額がマイナスとなった場合、その額は移転損失とみなされる。移転損失は、以下のいずれかの方法で税務処理することができる。
(1) 移転完了年度に一括損失として控除する。
(2) 移転完了の年から3年間にわたって、所得から均等に控除する。
上記の方法は企業自身が選択するが、いったん選択した方法については変更できない。
第十九条:企業は、以下の条件を同時に満たした場合、移転を完了したものとみなされる。
(1) 移転計画が基本的に完了していること。
(2) 当該年度の生産・営業収入が移転前の年間生産・営業収入の50%以上を占めること。
第二十条:企業が事業を継続しながら移転する場合、移転年は実際の移転を開始した年から起算する。
第二十一条:企業が過年度の繰越欠損金を有しており、移転による生産・営業の停止により所得が発生しない場合、移転の翌年から移転完了の前年までの期間は、生産・営業活動停止の年として、法定の繰越欠損金控除期間から控除することができる。企業が移転と同時に生産を継続している場合、繰越欠損金の年数は連続して計算される。
第六章 徴税管理
第二十二条:企業は、移転を開始した年から翌年の5月31日までの期間に、移転の根拠および移転計画などの関連資料を管轄税務機関(移転元の所在地および移転先の所在地を含む)に提出しなければならない。期限までに報告が行われなかった場合、特別な理由があり、管轄税務機関の承認を得た場合を除き、政策によらない企業として扱われ、本規定は適用されない。
第二十三条:企業は、政策による移転の根拠、移転計画など、関連資料を管轄税務当局に提出しなければならない。
(1) 政府による移転に関する文書または通知
(2) 移転および代替に関する全体計画
(3) 取り壊しおよび移転に関する補償契約
(4) 資産処分計画
(5) 移転に関するその他の事項。
第二十四条:移転元と移転先の管轄税務当局が変更となる場合、移転先の管轄税務当局が企業移転の申告受理を担当する。
第二十五条:企業移転が完了した年度において、企業が管轄税務当局に年度の企業所得税申告書を提出する際には、「政策上の理由による企業の移転清算による損益明細書」および関連資料も併せて提出しなければならない。
第二十六条:企業が本規定の効力発生日前に移転を完了していない場合、本規定が適用される。本規定の効力発生日前に移転が完了しており、かつ、旧規定に従って税務処理が行われた場合、修正は行わないものとする。
第二十七条:本規定に規定されていない企業移転に関する税務事項については、企業所得税法およびその実施条例の関連規定に従って処理する。
第二十八条:本規定の実施に伴い、「企業政策関連移転または処分による所得に対する企業所得税の取り扱いに関する国家税務総局の通知」(国税函[2009]第118号)は同時に廃止される。
規定名:「政策による企業移転に関する所得税管理弁法」の公布に関する国家税務総局の公告(国家税務総局公告2012年第40号)
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