中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
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【増値税・個人所得税・企業所得税】徴税代行手数料(三代手数料)
中国では、源泉徴収義務者や徴税請負人に対して、源泉徴収義務者や徴税請負人が源泉徴収した各種税金のうち数パーセントを税務局に代わり徴収した代行手数料として支払う規定があります。
対象となる税金は各徴税行為により『代扣代繳』『代收代繳』『委托代征』の三種類に分けられ、すべてに代行の代の字が付くことから【三代手数料】と呼ばれています。
今回、【三代手数料】のうち中国進出日系企業や非居住者企業に係る税目について、紹介いたします。
目次
1、三代手数料の種類について
2、代扣代繳(源泉徴収について)
3、中国進出日系企業や非居住者企業にかかわる税金について
1、三代手数料の種類について
三代手数料には以下3種類の徴税行為があります。そのうち、中国進出日系企業や非居住者企業と特に関りがあるのは代扣代繳です。
代扣代繳・・・源泉徴収義務者である会社や個人が納税義務者に支払う収入から税金を徴収し税務機関に納税すること。
代收代繳・・・源泉徴収義務者である会社や個人が納税義務者から受領した税金を税務機関に納税すること。
委托代征・・・税務機関が小口や分散または外地での徴税を各取引の関連の会社や徴税請負人に委託すること。
2、代扣代繳(源泉徴収について)
代行手数料:2%
代行手数料の上限:70万人民元/年
対象税目:
個人所得税
非居住者企業の源泉徴収企業所得税
非居住者企業の源泉徴収増値税
非居住者企業の源泉徴収付加税(都市建設税・教育費付加費)
3、中国進出日系企業や非居住者企業にかかわる税金について
中国進出日系企業は日本親会社等との間で、技術支援やコンサルティングまたはコミッションなどのサービスに関する取引(一般貿易と区別して、非貿易ともいう)を行うことがあります。
このサービスに関する取引(一般貿易と区別して、非貿易ともいう)では、中国国内企業が中国国外企業のために申告や納税を代行するため、中国国内企業が源泉徴収代行義務者となります。
つまり中国進出日系企業が日本親会社等との間でサービスに関する取引を行う場合、中国進出日系企業が日本親会社等のために各種税金を源泉徴収し申告納税します。
これより中国進出日系企業が源泉徴収した各種税金もまた三代手数料の対象範囲になるため、税務局側に源泉徴収代行手数料の還付を申請することができます。
規定によると、企業が申請期限の3月30日までに前年度の代行手数料を税務局に申請しない場合、税務局では企業が代行手数料を受領する権利を放棄したものと見做すようです。
実務上、企業が個人所得税の源泉徴収代行手数料の申請をしていない場合、税務局から各企業に連絡があります。ただし、個人所得税以外の税目では特に指示や通知はないようです。
そのため、源泉徴収代行手数料の申請漏れなどが起きないように確認することをお勧めいたします。
【参考となる規定】
関与進一歩加強代控代収代征税款手続費管理的通知(財行【2019】11号)
↓三代手数料のまとめ
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