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【労務関連】企業負担分の社会保険料の段階的減免(実務)

更新日:2021年8月26日

中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。

当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。


当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。

 

中国政府は新型コロナウイルスの影響による企業倒産を防ぐための防衛措置の一環として、2020年2月から2020年6月までを対象期間として、企業負担分の社会保険料の減額・免除を実施しています。



企業負担分の社会保険料の減額・免除はイレギュラーなことであり、会計処理も通常の処理とは異なります。



会計処理方法(実務)について、多くの中国進出日系企業が該当する小規模企業(中国語で小型微利企業)を例に解説いたします。(※上海市の社会保険料をベースに記述)



なお、各所在地により行政の方針も異なりますので、当処理が必ずしも画一的に行うべきとは言えず、ご参考程度にしていただけますと幸いです。




【労務関連】企業負担分の社会保険料の段階的減免(実務)



目次:
1、企業負担分の社会保険料の減額・免除に関する実務
2、企業負担分の「基本養老保険・失業保険・工商保険(労災)」の減額・免除
3、企業負担社会保険料の段階的減免に関する通知の概要や参考訳

1、企業負担分の社会保険料の減額・免除に関する実務


①2020年2月度の実務


当該規定が2020年2月に始まったばかりのため、多くの会社では、社会保険料の記帳根拠資料になる上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書に減額や免除の情報が未だ反映されておらず、従来通りの減額・免除前の社会保険料にて記載されていると思われます。



社会保険料の口座引き落とし額もまた、従来通りの企業負担分と個人負担分の社会保険料かと思われます。引き落とし額については銀行が発行するバンクステートメントで確認ができます。



これより、2月度の企業負担分と個人負担分の社会保険料は、従来通りの社会保険料に基づき記帳をします。



②3月度と4月度の実務


実地調査により、おおよその会社には未だ3月・4月度の上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書が届いていないことが分かりました。そのため、実際の企業負担分の社会保険料の減額や免除額を知ることが出来ません



社会保険料の口座引き落とし額は、個人負担分の社会保険料が引き落としされていると思われます。引き落とし額については銀行が発行するバンクステートメントで確認ができます。



これより、3月度と4月度の社会保険料は、個人負担分の社会保険料を計上し、企業負担分の社会保険料は暫定的に未計上とする記帳を行うことになります。


③5月度の実務


実施調査の結果、5月に入ってから今まで届いてなかった3月度から5月度までの上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書が各企業に届くようになります。(下記画像参照)



社会保険料の口座からは、5月度の個人負担分と企業負担分の社会保険料に加えて、3月度と4月度の企業負担分の社会保険料や2月度の企業負担分の社会保険料の減額・免除額が反映された金額が引き落としされているかと存じます。

引き落とし額については銀行が発行するバンクステートメントで確認ができます。



これより、暫定的に未計上としていた3月度と4月度の企業負担分の社会保険料を計上し、5月度の企業負担分と個人負担分の社会保険料額を計上する記帳をします。



また2月度の企業負担分の社会保険料が過大計上となっているため修正します。

2月度の企業負担分の社会保険料は、修正後の内容での上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書が発行されないため、3月度以降の上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書の内容に基づきます。



記帳後に、社会保険納付口座のバンクステートメントと突き合わせを行い、一致していれば問題ありません。不一致の場合は不一致の原因について究明します。




2、企業負担分の「基本養老保険・失業保険・工商保険(労災)」の減額・免除


上海市(城鎮)社会保険費繳納通知書に減免・免除額が反映されています。↓↓↓

※労災保険の料率は0.16%-1.52%のため今回は0.16%を適用しております。



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3、企業負担社会保険料の段階的減免に関する通知の概要や参考訳

部門:人力資源社会保障部 財政部 税務総局

中国語:关于阶段性减免企业社会保险费的通知

(人力资源社会保障部 财政部 税务总局 人社部发【2020】11号)

概要企業倒産を防ぐための防衛措置として企業負担分の社会保険料を減免する。湖北省を除く地域の中小微細企業は2月から6月まで企業負担分の「基本養老保険・失業保険・工商保険(労災)」が免除される。湖北省を除く地域の大企業等の社保加入事業体は2月から4月まで企業負担分の「基本養老保険・失業保険・工商保険(労災)」が半減される。

 

習近平総書記が打ち出した新型コロナウイルス防疫活動の重要な指示・精神を確固貫徹し、企業の困難な状況を緩和、企業の正常な業務再開を推進、雇用の安定と拡大を支援するため、社会保険法の関連規定に基づき、国務院の賛成を得て、企業負担分の基本養老保険・失業保険・工商保険(労災)(以下略称「三項社会保険」)を段階的に減免することを下記の通り通知する。


一、2020年2月から、各省・自治区・直轄市(湖北省を除く)及び新疆生産建設兵団(以下統一略称「省」)は感染による影響や資金受任能力に基づき、中小微細企業に対して企業負担分の三項社会保険料を免除することができ、免除期限は5カ月を超えてはならない。


大型企業等の社会保険加入企業(機関事業単位を含めず)に対しては、企業負担分の三項社会保険料を半減することができ、半減期限は3か月を超えてはならない。


二、2020年2月から、湖北省は各種の社会保険加入事業体(機関事業単位を含めず)に対して、企業負担分の三項社会保険料を免除することができ、免除期限は5カ月を超えてはならない。


三、感染の影響により生産経営に重大な困難が生じている企業は、社会保険料の延納を申請することができ、延納期限は原則として6カ月を超えてはならず、延納期間は延滞金が免除される。


四、各省は工業とIT部・統計局・発展改革委・財政部『中小企業划型標準規定の発行に関する通知』(工信部聯企業【2011】300号)等の関連規定に基づき、結束して当省の減免対象企業を確定し、また部門間の情報共有を強化し、企業の事務負担を増加させないようにする。


五、社会保険加入者の権益が影響を受けないよう、企業は法に従い従業員の個人負担分の社会保険料を源泉徴収する義務を履行し、社会保険の事務機構は個人の権益を記録することを確保する必要がある。


六、各省級政府は真摯に主要責任を請負、各項社会保険待遇が予定通りに十分支給されることを確保する必要がある。養老保険省級統筹(※)について、年末までに省級の資金調達の実現を確保する。2020年に企業従業員基本養老保険基金中央調剤の比率を4%まで引き上げ、困難地区に対する支援を増やす。

※基本養老保険省級統筹とは、省・自治区・直轄市を単位として実施する企業と従業員個人の納付比率・基本養老金計画支給法・支給基準・基金管理・基金調剤等の内容を含む全企業従業員基本養老保険制度とシステムの統一管理方式を言います。


七、各省は当地に集束して、当通知規定の減免範囲と減免期限に基づき実行し、基金管理の規範や増強をし、勝手にその他の減収増支政策を出してはならない。各省は減免状況に基づき、2020年の基金収入予算を合理的に調整することができる。


各省は認識を高くし、組織のリーダーシップを真摯に強化し、統筹は防疫と経済社会発展業務を十分に実施し、具体的な実施方法を至急制定し、減免政策の現金化を出来るだけ早くする。各省は発行する具体的な実施方法を3月5日以前に人力資源社会保障部・財政部・税務総局へ届け出する。各級人力資源社会保障・財政・税務部門は関連部門に参加し、真摯に職責を履行し、意思疎通協力を強化し、防疫期間内の社会保険業務を全力で行い、企業負担分の社会保険料の減免等の各項政策措置が着実に行き渡ることを確保する。



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